ありがとうおじじ

今日、大好きなおじじは白い煙となって空高く登って行った。95歳。おじじは森の中を吹き抜ける風の様に、静かに自然と一体化する様に、沢山の仲間に囲まれて。。。この世を旅立った。
友人3人とヒッチハイクでまわった北海道。私はまだ、たった12歳。
おじじの住む『ひまわり文庫』は余りに居心地が良くて、予定を延ばし延ばし滞在し、友達が帰っても私は居座り、離れ難い場所になってしまった。
一目で大好きになってしまったおじじ。でも奄美⇔北海道!この距離は一文無しの私には外国の様。
結局26年間記憶の中にとどめてしまった。

津軽三味線の修行を重ね、独立し、絶対におじじとおばばを家族に会わせたいという思いが強くなり、ついにファミリーで北海道の旅へ。幼い頃の思い出の場所で演奏をする旅をした。

何十年振りかの再会に、たまらないほど胸が熱くなった

森での最後の夜には、みんなの前で三味線を弾かせてもらった。お世話になったおじじとおばばに、この森の中で今度は津軽三味線を聴いてもらいたいと夢見ていた瞬間が実現した✨✨

小雨が降り、深く澄んだ森の中でこうこうと焚かれる真っ赤な火。あの日踊りをおどったこの場所で、重ねたときの長さを埋めるように漆黒の空に向かって弦をはじいた。12歳の私と。

おじじありがとう。沢山の愛と幸せと。感謝✨✨✨

【徳村彰】通称おじじ。1928年石川県金沢市に生まれる。東京大学中退。1971年、妻杜紀子(通称おばば)とともに、子どもが主人公のひまわり文庫を横浜で開く。1983年から紋別郡滝上町の熊出の森で子どもの村を創設。ブナの山旅を続けながら、生命の尊さを深く感じとりたくて、電気もガスも水道もない森で、「森に生きる」を続けていた。