『飯館村の母ちゃんたち』監督の古居みずえさんによるパレスチナの状況報告

今月27日にせとうち交流プロジェクトで上映会をする『飯館村の母ちゃんたち』の古居みずえ監督は現在パレスチナに居ます。イスラエルでは、アメリカ大使館の移設を強行したイスラエル政府に投石などで抵抗の意を示したパレスチナのデモに、イスラエル軍が銃撃し、死者が60名を越える悲惨な事態になっています。
この時期に現場からの報告はとても貴重です。

「14歳の息子は抗議デモでイスラエル兵に射殺された」父の悲しみ 古居みずえ(写真4枚)

5/17(木) 6:31配信

アジアプレス・ネットワーク

◆子どもの死者あいつぐ

5月14日、アメリカ大使館がイスラエルのテルアビブからエルサレムに移転したニュースを受けて、ガザ地区でパレスチナ人の怒りが爆発した。衝突での死者は60人を超え、負傷者も2500人にのぼった。子どもの犠牲者も出ている。(古居みずえ・アジアプレス)

14日の朝10時。現場へ行くと、すでに若者たちが燃やすタイヤの煙があがっていた。女性たちがパレスチナの旗を振ったり、タイヤを運んだりしている。投石をしていた若者がイスラエル兵に撃たれ、崩れ落ちた。周りにいた若者たちがすぐに駆け寄り、救急隊員を呼ぶ。この日、救急車のサイレンが途切れることはなかった。

3月30日の土地の日から毎週続いてきた抗議デモでの死者は計100人を超えた。デモ隊に対し、イスラエル兵は実弾も撃っている。

14歳のフセイン少年は4月6日の抗議デモに参加し、射殺された。この日は金曜日で、パレスチナ人はモスクへお祈りに行った後、家族そろって昼食をとるのが常だ。父親のモハンマドは息子のフセインが祈りから帰ってくるのを待っていた。しかし待てど暮らせど彼は帰ってこなかった。息子の死は、インターネットの情報で知ることになる。

「息子の死は私の人生、私の希望はすべて奪われた」
父親のアブ・フセインは悲しみに沈んだ目で話し始めた。

「子どもたちは抗議デモに参加するためにイスラエルの境界に行きます。子どもたちが不正を感じ、抑圧を感じるからです。彼らは自由がないと感じるからです。他国の子どもたちのように尊厳の中で生きていないと感じるからです。彼らはまだ小さいです。でもテレビなどでほかの国の子どもがどんな風に生きているのか知っています。息子はそんな思いでデモに参加したのだと思います。しかし、こんなことが起きるなんて。誰も息子が死に向かうことに同意する親はいません。息子には未来があったのに」

14日の抗議デモの犠牲者のほとんどは20~30代の若者。16歳未満の子どもが8人もいた。

「いずれ平和が遅かれ早かれ起こると思います。しかし、私たちの子どもたちが負傷したり、殺害されたりして将来が失われても、まだ待たなければならないのでしょうか?」
父親の言葉が重く響いた。